「離れて暮らす高齢の家族に介護が必要になったらどうしよう?」
「まだ介護は必要ないけれど、日常生活に不便なことが増えてきているようで心配」
現在40代前半の私と同年代の方の中には、そんな心配や悩みを抱える方が増えてくると思います。
実家から遠く離れて暮らしている場合は特に不安な介護問題。
この記事では我が家の例も交えながら「遠距離介護」で大切だと感じたことや役立っているものを紹介します。
これから介護する可能性がある方の心の準備や高齢家族とのコミュニケーションのきっかけにしていただければ幸いです。
高齢親とのコミュニケーション
介護問題と向き合う際、まず大切なのは家族間のコミュニケーションです。
できるだけこまめに連絡・帰省をし、親の健康状態や実家の状態(生活に危険なところがないか、経済状況など)をさりげなく確認し、兄弟がいれば共有しておきましょう。
帰省が難しい場合はLINEやスマートスピーカーを使用してのビデオ通話もおすすめです。
スマホやLINEの操作が苦手な場合はAmazon Echo showシリーズの「呼びかけ機能(強制的にビデオ通話を開始できる)」が大変便利です。
元気なうちからスマホやスマートスピーカーの操作に慣れておくことをお勧めします。
入院したり介護が必要になると、実家の経済状況や貴重品の場所が分からなくて困ることもあります。あらたまって質問責めにすると親の気分を害することがあるので、ニュースや知人の話をネタにして自然に介護の話題に持っていき、親の希望なども聞いておきましょう。
何かあった時に連絡をとって欲しい親戚や友人、頼れるご近所さんも確認できると良いですね。
また、帰省の際にはカレンダーなどの手書きメモにも注目してみてください。
我が家の場合、倒れる直前の手書きの文字に病気の傾向が出ていました。
元気なうちに聞いておけばよかった!ってこと、結構あるんですよね
介護に関する相談先
「介護が必要かも」と感じたら、まずは自治体の「地域包括支援センター」や「社会福祉協議会」などに相談してみてください。
(病気がきっかけの場合は受診した医療機関から紹介を受けることもできます)
親がまだ元気な時でも、ご近所で介護施設や介護サービスの車などを見かけることはあると思うので、地域にどんな施設やサービスが存在するのかも知っておくと良いですね。
介護サービスを利用していたりお勤めしているご近所さんからも評判を聞いていると参考になります
親以外にも大切な3つのコミュニケーション
親以外にも、サポートしてくださる方々とのコミュニケーションが大変重要です。
ケアマネージャー(ケアマネさん)とのコミュニケーション
担当のケアマネさんとは、しっかりコミュニケーションをとるようにしましょう。
要介護者となった親の性格やこれまでどのような生活をしていたか、家族の現在の生活や介護にかかる経済的な心配事など、本人と家族の情報を正直にしっかり伝えることで、適切なケアプランを作成してもらえます。
我が家の担当ケアマネさんには感謝ばかりですが、もしどうしてもケアマネさんと相性が悪い場合は「ほかのケアマネさんを紹介してほしい」と言って変更を希望することも可能らしいです
ご近所さんとのコミュニケーション
実家のご近所さんともコミュニケーションをとり、いざという時に様子を確認してもらえる関係を築いておくことが重要です。
日頃から親と共に交流を続けておけば、ご近所目線で心配な点があった場合に連絡をもらうこともできます。
若い頃は田舎のご近所付き合いをウザく思っていたけれど、今はありがたく感じています
職場でのコミュニケーション
自分自身の経済基盤を確保するため、仕事は続けるべきです。
会社に介護をサポートする制度がある場合には積極的に利用してください。
また同僚にも自分が介護をしていることを話すようにして、協力をお願いしましょう。
迷惑をかけるからと一人で抱え込んで無理をしても心身の負担が大きくなり、仕事に悪影響が出る可能性だってあります。
日頃から育児をしている同僚のサポートをしたりお互いの家族の話をしておけば、自分が助けてもらう立場になった時にも協力してもらいやすいです。
世話をするのが子どもか親かの違いはあれど、家族のために必要なサポートは「お互い様」と言える関係を築いておきましょう。
私はずっと「同僚の産休&育児時短勤務をサポートする立場」だったのですが、自分が介護を始めることになった時「今度はあなたを助ける」と言ってもらえてとても嬉しかったです
遠距離介護のメリットとデメリット
我が家の「みまもり介護」について
私が一人暮らしを継続しながら週の半分を片道約2時間の実家に帰る「二拠点生活でのみまもり介護」を始めて約1年になります。
母が要介護になったきっかけ
母は約1年前に脳梗塞で倒れ、現在も片麻痺と言語機能の後遺症があります。
自宅内での生活動作はほぼ自立が可能なので「一人で過ごすこと」はできますが「一人暮らし」は難しく、要介護認定を受けており、持病の状態も良くないことから極力誰かが見守れる環境での生活を勧められています。
嚥下機能の低下が少しありますが、食材を細かく刻んだりよく煮込むことで家族と同じメニューの食事を摂ることが可能です。
在宅介護という決断
数年前に亡くなった父は認知症だったのですが、デイサービスとショートステイを利用しながら基本的には母がメインでの在宅介護でした。
その時の2人の姿を見ていて介護の大変さは重々理解していましたが、母本人の強い希望があり、私たち家族もサポートが不可能ではないと思えたことから住み慣れた自宅での生活を選びました。
ずっと一緒にいれば息苦しい実家・家族ですが、これまでの苦労を見てきた分助けてあげたい気持ち、できるだけ寂しい思いをさせたくない、自分も後悔したくないという思いがあっての決断です。
(今思えば我が家は機能不全家族だったので共依存なのかもしれませんが…)
あとは繊細な性格の猫の生活環境を変えないであげたいという思いもありました。
「みまもり介護」のための二拠点生活
母は現在、介護サービスを利用しながら猫と一緒に自宅で暮らしています。
(父の在宅介護時に用意した設備があったので、退院と同時に自宅での生活が可能でした)
私と姉はそれぞれ実家から片道2時間ほどのところに暮らしていますが、交代で実家へ帰る二拠点生活をしています。
コロナ禍で時短勤務が可能だったのも幸いし、会社の理解と協力を得られたことは大きかったです。
退院当初は毎日どちらかが実家へ帰っていたので体力的にも厳しかったのですが、約1年経った現在はスマートスピーカーを使用してビデオ通話での安否確認ができるようになったため、実家へ帰る日を減らすこともでき、慣れもありますが随分ラクになっています(異常を感じたらご近所の方に様子を見てもらえるようお願いしてあります)。
通所リハビリのない日には娘のどちらかが実家に帰ることで、毎日最低1回は誰かが直接会って様子を確認できるようにしています。
リハビリから帰った夜には「今日は何したの?」と聞きながら一緒に宿題(リハビリで時間切れになった間違い探しなど)をやったり、ストレッチやマッサージをします。
スマートスピーカーを使用した「みまもり」
我が家の場合、LINEのビデオ通話では母が応答や通話終了の操作をできないことが多く、不要な操作でスマホの設定が変わってしまうトラブルもあったため、簡単な音声操作で対応できるスマートスピーカーの導入を検討しはじめました。
実際に購入したのはAmazonのスマートスピーカー「Echo Show 8」と「Echo Show 5」。
オンライン帰省ツールとして「高齢者でも使える」との口コミが多かったのが決め手です。
(YouTubeやブログでも見守り使用向けの解説が多く、参考になりました)
まず実家の居間に「Echo Show 8」を1台設置し、離れて暮らす私と姉がそれぞれのスマホに「Alexaアプリ」を入れることでビデオ通話が可能になりました。
Echo Show 8の便利さに感動し、母も音声操作(3パターンくらいですが)に慣れたところで寝室にEcho Show 5を追加。
もし体調が悪く寝込んでいて応答ができなくても「呼びかけ機能」で様子を確認できるようになりました。
※普段はプライバシーの面と操作を忘れない対策として、通常の「ビデオ通話」で「応答」してもらうようにしています。
起動時に呼びかける設定は「アレクサ」「アマゾン」「エコー」「コンピューター」の4種類から選べるのですが、母の発音の関係で一番反応が良かった「エコー」に決めました。
エコーに「夜の薬の時間です」って言われた時、
まだ飲んでないのに「飲みました!」って嘘つきがち
- 月曜日朝、実家から出勤
夜、Echo Showでビデオ通話(体調・服薬確認)★母は通所リハビリ(昼食付き)+夕食は配食サービスを利用
- 火曜日朝、出勤前にEcho Showでビデオ通話(体調・服薬確認)
仕事の後実家へ帰る
夕食の準備・片付け、入浴の準備・洗濯などの家事とマッサージ深夜に猫様の遊び相手をします
- 水曜日実家から出勤
夜、Echo Showでビデオ通話(体調・服薬確認)★母は通所リハビリ(昼食付き)+夕食は配食サービスを利用
- 木曜日朝、出勤前にEcho Showでビデオ通話(体調・服薬確認)
夜、Echo Showでビデオ通話(体調・服薬確認)(姉が実家に帰ってくれます)
- 金曜日朝、出勤前にEcho Showでビデオ通話(体調・服薬確認)
夜、Echo Showでビデオ通話(体調・服薬確認)★母は通所リハビリ(昼食付き)
- 土曜日買い出しをして実家へ帰る
家事・マッサージなど - 日曜日家事・マッサージなど
(日曜日は姉と交代で実家に泊まります)
自分でやりたい気持ち、できた喜びを大切に
母自身の「できるだけ自分でやりたい!」という強い意志と頑張りのおかげで、日常生活の不便や心配はかなり減ってきました。
最初はうまくできない、時間がかかる、自信がなくてやりたがらない、そんなことだらけでした。
家族がやった方が早いし、何を言いたいのか伝わらず、連想ゲームのようなやりとりに疲れ、理解できずにお互いイライラしたことも多かったと思います。
「ゆっくりでいいよ」「自分でやって!」「大丈夫、できる!できてる!」
きっと親が子どもにしてきたように、危なくないかを見守りながら自分でできることを増やしていくよう、できるようになったことがまたできなくなるのを防ぐよう、心がけました。
母はなぜか退院と同時に「笑い上戸」になって帰ってきたので、失敗しても落ち込みすぎず一緒に笑うことができるのはとても助かっています
「みまもり介護」1年続けてみて
母の場合、言語能力の回復は退院時に比べると誰もが驚くほどです。
最初は簡単な単語も発することができなくて、相手の名前を呼べなかったりスムーズに話せないことを気にしていたのですが、今では来客に応対したり、ご近所さんとも和やかに談笑できるようになりました。
毎日誰かとコミュニケーションをとることがとても大切だと感じています。
仕事と遠距離介護の両立は疲れることもありますし喧嘩することもありますが、多くの日を笑い合って話せている現実に自分自身が驚いています。
ここに至るまでにブログには書けないことも含めさまざまな困難がありましたが、今はこの生活をできるだけ長く続けたいと思えています。
まとめ
離れて暮らしながらも遠方に住む親を「見守る手段・サービス」は多数あります。
サポートしてくれる周囲とのコミュニケーションを大切にし、介護サービスや便利なアイテムをフル利用しながら、自分自身の暮らしや仕事と両立できる介護を目指しましょう。
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