実家から遠く離れて暮らしている場合、年を重ねるごとに心配になってくるのが介護問題。
「高齢の親が心配だけど、完全同居はしたくない」
「親は自宅で暮らしたいと言うけれど、仕事を続けながら在宅介護は難しい」
そんなお悩みはないですか?
この記事では、実際にそんな悩みを抱えた私の「見守り重視のゆるやかな在宅介護」の実例、遠距離介護で大切だと実感したこと、役立っているモノをご紹介します。
介護問題がリアルになってきた方の心の準備や、離れて暮らすご家族とのコミュニケーションのきっかけにしていただければ幸いです。
リモート機器や介護サービスを利用した「ゆるやかな介護」の実体験をご紹介します
要介護の親と離れて暮らす、見守り重視のサポート生活
遠くに暮らす親が要介護になったらどうしますか?
私の場合、一人暮らしもキープしながら実家と二拠点の生活で要介護の母を見守っています。
この生活をはじめた頃は仕事中も心配が尽きず心身ともに疲労を感じることも多かったですが、介護サービスやご近所さんのサポートも大きな支えになり、今では互いの一人時間も大切にしながら心に余裕をもって過ごせるようになりました。
- 一人暮らしと仕事は継続
それぞれ片道2時間ほどの場所に住んでいる娘が交代で実家に通いながら「要介護2」の母の生活をサポートしています。 - できることは極力自分でやってもらう
危険なものや重いものを扱う以外は時間がかかっても母に任せて、見守り重視のサポートを心がけています。 - 実家に帰れない日はビデオ通話でコミュニケーション
離れていても顔を見ながら体調や服薬の確認。元気なうちにLINEを覚えてもらっていて良かった!スマートスピーカーも大活躍です。
私たち家族の選んだ「ゆるやかな在宅介護」のカタチです
本格的に介護が必要になる前に
介護問題と向き合う際、まず大切にしたいのは家族間のコミュニケーションです。
帰省の際には親の健康状態や実家の状態(生活に危険なところがないか、経済状況など)をさりげなく確認し、兄弟がいれば共有しておきましょう。
帰省が難しい場合はLINEやスマートスピーカーを使用してのビデオ通話もおすすめです。
スマホやLINEの操作が苦手な場合はAmazon Echo showシリーズの「呼びかけ機能(強制的にビデオ通話を開始できる)」が大変便利です。
元気なうちからスマホやスマートスピーカーの操作に慣れておくことをお勧めします。
入院したり介護が必要になると実家の経済状況や貴重品の場所が分からなくて困ることもありますが、あらたまって質問責めにすると親の気分を害することがあるので、ニュースや知人の話をネタにして自然に介護の話題に持っていき、親の希望なども聞いておきましょう。
何かあった時に連絡をとって欲しい親戚や友人、頼れるご近所さんも確認できると良いですね。
また、帰省の際にはカレンダーなどの手書きメモにも注目してみてください。
我が家の場合、倒れる直前の手書きの文字に病気の傾向が出ていました。
元気なうちに聞いておけばよかった!ってこと、結構あるんですよね
「介護が必要かも」と感じたときの相談先
「そろそろ介護が必要かも」と感じたら、まずは地元の「地域包括支援センター」に相談してみてください。
(病気がきっかけの場合は受診した医療機関から紹介を受けることもできると思います)
親がまだ元気な時でも、ご近所で介護施設や介護サービスの車などを見かけることはあると思うので、地域にどんな施設やサービスが存在するのかも知っておくと良いですね。
要介護の認定を受ければ自宅に手すりを設置したりバリアフリーにする改修工事に介護保険の助成金を受けることもできるので、ケアマネージャーさんに相談してみましょう。
私は地元の「地域包括支援センター」を検索して電話、その後直接伺って相談にのってもらいました
遠距離介護を支えてくれる3つのコミュニケーション
離れて暮らしながら仕事と介護を両立するには、家族間以外にもサポートしてくださる方々とのコミュニケーションがとても大切だと実感しました。
ケアマネージャー(ケアマネさん)とのコミュニケーション
担当のケアマネさんとは、しっかりコミュニケーションをとるようにしましょう。
要介護者となった親の性格やこれまでどのような生活をしていたか、家族の現在の生活や介護にかかる経済的な心配事など、本人と家族の情報を正直にしっかり伝えることで、適切なケアプランを作成してもらえます。
我が家の担当ケアマネさんには感謝ばかりですが、どうしても相性が悪いと感じる場合は「ほかのケアマネさんを紹介してほしい」と言って変更を希望することも可能らしいです
ご近所さんとのコミュニケーション
実家のご近所さんともコミュニケーションをとり、いざという時に様子を確認してもらえる関係を築いておくことが重要です。
日頃から親と共に交流を続けておけば、ご近所目線で心配な点があった場合に連絡をもらうこともできます。
実家の近所では畑をしている方も多いので「おすそ分け」とともにこまめに様子を見てくださったり、ゴミ出しルールの変更時に助けていただいたり、本当に感謝です。
若い頃は田舎のご近所付き合いをウザく思っていたけれど、今はありがたく感じています
職場でのコミュニケーション
自分自身の経済基盤を確保するため、仕事は続けるべきです。
会社に介護をサポートする制度がある場合には積極的に利用してください。
また同僚にも自分が介護をしていることを話すようにして、協力をお願いしましょう。
迷惑をかけるからと一人で抱え込んで無理をしても心身の負担が大きくなり、仕事に悪影響が出る可能性だってあります。
日頃から育児をしている同僚のサポートをしたりお互いの家族の話をしておけば、自分が助けてもらう立場になった時にも協力してもらいやすいです。
世話をするのが子どもか親かの違いはあれど、家族のために必要なサポートは「お互い様」と言える関係を築いておきましょう。
私はずっと「同僚の産休&育児時短勤務をサポートする立場」だったのですが、自分が介護を始めることになった時「今度はあなたを助ける」と言ってもらえてとても嬉しかったです
遠距離介護で実感したメリットとデメリット
実際にサポートをはじめてから「在宅でよかった」と思ったこと、「正直ちょっとしんどいな」と思ったことをまとめてみました。
私は電車移動ですが、飛行機の場合には「介護割引」を行なっている航空会社もあるそうです。
(JAL・ANA・スターフライヤー・ソラシドエア)
交通費や施設利用費など経済面での比較検討も必要なので、年金や貯蓄、生活費も把握しておいたほうがよいですね
我が家の「見守り介護」実例
私の実家では「要介護2」の母(80代)が介護サービスを利用しながら生活しています。
すでに亡くなった父が在宅介護だったのである程度の介護用品はすでに備わっていたため、本人と家族みんなの意思で「在宅介護」を選択しました。
基本的には「一人暮らし」で、それぞれ片道2時間ほどの場所に住んでいる娘が交代で通いながら見守り重視のサポートを続けています。
要介護になったきっかけと現状
母は数年前に脳梗塞で倒れ、現在も片麻痺と言語機能の後遺症があります。
自宅内では一人で過ごせますが「要介護2」の認定を受けており、持病の状態も良くないことから「できるだけ誰かが見守っている生活」を勧められました。
食事面では嚥下機能の低下がありますが、食材を細かく刻んだりよく煮込むことで家族と同じメニューの食事を摂ることが可能です。
在宅介護という決断
数年前に亡くなった父は認知症だったのですが、デイサービスとショートステイを利用しながら母が在宅で介護していました。
その時の2人の姿を見ていて介護の大変さは重々理解していましたが、母本人の強い希望があり、私たち家族もサポートが不可能ではないと思えたことから住み慣れた自宅での生活を選択。
ずっと一緒にいれば息苦しい実家・家族ですが、これまでの苦労を見てきた分助けてあげたい気持ち、できるだけ寂しい思いをさせたくない、自分も後悔したくないという思いがあっての決断です。
(今思えば我が家は機能不全家族だった気もするので共依存かもしれませんが…)
あとは繊細な性格の猫の生活環境を変えないであげたいという思いもありました。
我が家の「見守り介護」スケジュール
亡くなった父も在宅で介護していたので、実家にはすでに手すりや介護用品がありました。
私と姉はそれぞれ実家から片道2時間ほどのところに暮らしていますが、交代で実家へ帰る二拠点生活をスタート。
コロナ禍で時短勤務が可能だったのも幸いし、会社の理解と協力を得られたことは大きかったです。
当初は毎日どちらかが実家へ帰っていたので体力的にも厳しかったですが、現在は母が自分でできることも増え、スマートスピーカーを使用してビデオ通話での安否確認ができるようになったため実家へ帰る日を減らすことができました。
(異常を感じたらご近所の方に様子を見てもらえるようお願いしてあります)
- 月曜日朝、実家から出勤
夜、Echo Showでビデオ通話(体調・服薬確認)★母は通所リハビリ(昼食付き)+夕食は配食サービスを利用
- 火曜日朝、出勤前にEcho Showでビデオ通話(体調・服薬確認)
仕事の後実家へ帰る
夕食の準備・片付け、入浴の準備・洗濯などの家事とマッサージ深夜に猫様の遊び相手をします
- 水曜日実家から出勤
夜、Echo Showでビデオ通話(体調・服薬確認)★母は通所リハビリ(昼食付き)+夕食は配食サービスを利用
- 木曜日朝、出勤前にEcho Showでビデオ通話(体調・服薬確認)
夜、Echo Showでビデオ通話(体調・服薬確認)(姉が実家に帰ってくれます)
- 金曜日朝、出勤前にEcho Showでビデオ通話(体調・服薬確認)
夜、Echo Showでビデオ通話(体調・服薬確認)★母は通所リハビリ(昼食付き)
- 土曜日買い出しをして実家へ帰る
家事・入浴の準備・マッサージなど(金曜日の夜に帰ることもあります)
- 日曜日家事・入浴の準備・マッサージなど
(日曜日は姉と交代で実家に泊まります)
通所リハビリのない日には娘のどちらかが実家に帰ることで、毎日最低1回は誰かが直接会って様子を確認できるようにしています。
リハビリから帰った夜には「今日は何したの?」と聞きながら一緒に宿題(リハビリで時間切れになった間違い探しなど)をやったり、ストレッチやマッサージをします。
スマートスピーカーは高齢家族の見守りにも大活躍
我が家の場合、LINEのビデオ通話では母が応答や通話終了の操作をできないことが多く、不要な操作でスマホの設定が変わってしまうトラブルもあったため、簡単な音声操作で対応できるスマートスピーカーの導入を検討しはじめました。
実際に購入したのはAmazonのスマートスピーカー「Echo Show 8」と「Echo Show 5」。
オンライン帰省ツールとして「高齢者でも使える」との口コミが多かったのが決め手です。
(YouTubeやブログでも見守り使用向けの解説が多く、参考になりました)
まず実家の居間に「Echo Show 8」を1台設置し、離れて暮らす私と姉がそれぞれのスマホに「Alexaアプリ」を入れることでビデオ通話が可能になりました。
Echo Show 8の便利さに感動し、母も音声操作(3パターンくらいですが)に慣れたところで寝室にEcho Show 5を追加。
もし体調が悪く寝込んでいて応答ができなくても「呼びかけ機能」で様子を確認できるようになりました。
※普段はプライバシーの面と操作を忘れない対策として、通常の「ビデオ通話」で「応答」してもらうようにしています。
起動時に呼びかける設定は「アレクサ」「アマゾン」「エコー」「コンピューター」の4種類から選べるのですが、母の発音の関係で一番反応が良かった「エコー」に決めました。
我が家の母、エコーに「夜の薬の時間です」って言われた時、まだ飲んでないのに「飲みました!」って嘘つきがち
自分でやりたい気持ち、できた喜びを大切に
母自身の「できるだけ自分でやりたい!」という強い意志と頑張りのおかげで、日常生活の不便や心配はかなり減ってきました。
最初はうまくできない、時間がかかる、自信がなくてやりたがらない、そんなことだらけでした。
家族がやった方が早いし、失語症のセイで何を言いたいのか伝わらず、連想ゲームのようなやりとりに疲れ、理解できずにお互いイライラしたことも多かったと思います。
「ゆっくりでいいよ」「自分でやって!」「大丈夫、できる!できてる!」
きっと親が子どもにしてきたように、危なくないかを見守りながら自分でできることを増やしていくよう、できるようになったことがまたできなくなるのを防ぐよう、心がけました。
母はなぜか退院と同時に「笑い上戸」になって帰ってきたので、失敗しても落ち込みすぎず一緒に笑うことができるのはとても助かっています
見守り重視のゆるやかな在宅介護を続けて思うこと
母の場合、言語能力の回復は退院時に比べると誰もが驚くほど。
家に戻った頃は簡単な単語も発することができず、相手の名前を呼べなかったりスムーズに話せないことを気にして引きこもりがちだったのですが、今では来客に応対したり、ご近所さんとも和やかに談笑できるようになりました。
通所リハビリでは介護実習の学生さんとも仲良くなり、時にはお手紙も書いています。
毎日誰かとコミュニケーションをとることって本当に大切ですね。
仕事と遠距離サポートの両立は正直疲れることもありますが、我が家なりの「ゆるやかな在宅介護」が軌道に乗ってからは心から笑って過ごせる時間も多く、今では「できるだけ長くこの生活を維持したいな」と思えています。
サポートしてくれる周囲とのコミュニケーションを大切にし、介護サービスや便利なアイテムをフル利用しながら、自分自身の暮らしや仕事と両立できる介護を目指しましょう。
我が家の場合は実家の猫の癒し効果も大きいです
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